2017年に読んで良かった本を紹介します(後編) – good life note

2017年に読んで良かった本を紹介します(後編)

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遅くなりましたが、今回は2017年に読んで良かった本の後編です。

前編はこちら⇒「2017年に読んで良かった本を紹介します(前編)

後編では、前編とは少し毛色の異なる本を紹介していきます。

1.『絶望図書館』/頭木弘樹

このタイトルを見ただけでは、「絶望的な気分になるような物語」が紹介されているのかな?と思われる方もいるのでは?

『絶望図書館』の副題は、「立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語」です。

この本は「絶望的な物語」が集めてあるわけでも「絶望から立ち直るための物語」を集めているわけでもなく、「絶望したときにこそ内容に共感することのできるような、心に寄り添ってくれる物語」が紹介されています。

人に受けてもらえず絶望しているとき、ずっと誰も助けてくれないと絶望しているとき、家族に耐えられないと絶望しているときなど、テーマ別に様々な物語が紹介されています。

収録されているのは以下の12の作品+α。

  • 『おとうさんがいっぱい』三田村信行
  • 『最悪の接触』筒井康隆
  • 『車中のバナナ』山田太一
  • 『瞳の奥の殺人』ウィリアム・アイリッシュ
  • 『漁師と魔神との物語』佐藤正彰 訳
  • 『鞄』安部公房
  • 『虫の話』李清俊
  • 『心中』川端康成
  • 『すてきな他人』シャーリイ・ジャクスン
  • 『何ごとも前ぶれなしには起こらない』キャサリン・マンスフィールド
  • 『ぼくは帰ってきた』フランツ・カフカ
  • 『ハッスルピノコ』手塚治虫
  • 『入れられなかった幻の絶望短編』頭木弘樹

ジャンルは児童文学、SF、エッセイ、ミステリー、口承文学、現代文学、韓国文学、日本文学、アメリカ文学、イギリス文学、ドイツ文学、マンガなど多岐に渡っています。

個人的に好きなのは三田村信行さん(作)、佐々木マキさん(画)の『おとうさんがいっぱい(児童文学)』、ウィリアム・アイリッシュ氏の『瞳の奥の殺人(ミステリー)』です。

『おとうさんがいっぱい』はずっと読みたいと思いつつも読めていない作品でした。

私は村上春樹さんの本にハマった時期があったので、佐々木マキさんの少し不思議な世界観の絵には馴染みがあります。

『おとうさんがいっぱい』はタイトル通り、おとうさんが増えてしまうという話。

おもしろさの中に狂気が潜んでおり、小さい頃に読んでいたらトラウマになっていたかもしれません。

その不思議な世界観には佐々木さんの絵がとても合っていて、良い味を出していました。

一方、『瞳の奥の殺人』は正統派のミステリー。

昨年の秋ぐらいに彼の代表作の『幻の女』を読みとても面白いと感じたため、他の作品も読めてうれしかったですし、更に彼の作品に興味を持つことができました。

殺人がテーマの悲しい話ではあるものの、ラストでは心が温まるようなミステリーでした。

私は何かに絶望を感じている訳もありませんが、収録されている作品に興味を持ち、この本を読んでしまいました。

いつか、この本の助けを得たくなる日がくると思うので、それまで本棚にそっと置いておこうと思います。

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2.『書店員X』/長江貴士

ノンフィクション小説『殺人犯はそこにいる』の表紙をブックカバーで隠し、全く何の本かわからない状態で販売されて話題になった『文庫X』。その企画を発案したのが岩手県のさわや書店の長江貴士さんです。

本書では『文庫X』がどう生み出され、どういう風に広まっていったかのエピソードや、長江さんがこの経験を経てわかった、「常識」や「先入観」からの逃れ方など自己啓発的なことについて語られています。

それらを語る中で、さまざまな本の内容が引用されており、その数々の本に興味を持ったのもこの本が良かった理由の一つ。

長江さんの本への愛を感じることができました。

『文庫X』のような、本の表紙を隠して試みは実は今までにもありましたが、ここまで話題になったのは『文庫X』が初めてではないでしょうか。

それは、ただこの『文庫X』が正体を隠して販売されていたということだけでなく、「他の人にも読んでもらいたい!」という強い気持ちが伝わってくる(手書きの文字がぎっしりと書かれた)ブックカバーや、さわや書店の自由な社風などすべて条件がそろったからこその結果なのでしょう。

『文庫X』を読んだことのある人はもちろん、「<常識>に殺されない生き方」について知りたい方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

3.『うしろめたさの人類学』/松村圭一郎

難しそうなタイトルであるものの、かわいらしい装丁のおかげで興味を持てたこの本。

さらにミシマ社の本ということがきっかけ(読みやすい本が多いので)で中身を読んでみると、なかなか興味深い内容で読んでみることに。この本は「構築人類学」という一見難しそうなテーマを扱っていながら、とても読みやすくまとめられています。

最貧国のエチオピアで松村さんが感じた「うしろめたい」という気持ち。

松村さんは「うしろめたさ」は決して悪いことではなく、断絶した世界が「つながり」を取り戻すヒントになると言います。

この本ではエチオピアでのエピソードを交えながら、経済、感情、関係、国家、市場、援助についてそれぞれ提言をされています。

身近なことを例として説明がされているので理解もしやすく、拒否反応が出ることもなく読み進めることができました。

そして、当たり前のように「こういうものである」と感じている市場、国家、社会の仕組みについて考えるきっかけにも。

この本には「エチオピアでの体験記」も収録されているので、旅行記としても楽しめるかもしれません。

このような装丁にして出版されたのは、若い人にも手にしてもらいたいという意図があるのでしょうか。

タイトルで毛嫌いせず、様々な世代の人に読まれたら良いなと強く思った一冊でした。

最後に

2017年は正直なところあまりたくさんの本を読むことができませんでした。

それでも、印象に残る本が数冊でもあったことは美味しい収穫でした。

2018年はもっと幅広くたくさんの本を読んで一冊でも多くのおすすめ本を紹介できればと思っています。

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